ストレス社会の現代は、疲労が蓄積しやすいと思います。疲労感というのは、主観的な感覚による部分が多く、体調を崩してから初めて気づくという人も多いですよね。最新の検査では、唾液中のあるウィルスの量を測定することによって、疲労度を客観的に見ることができるようになっています。ここで測定するウィルスとは、ヘルペスウイルスです。まずは、このウィルスについて簡単にお話したいと思います。
ヒトのヘルペスウイルスは、現在8種類が確認されています。ヘルペスと聞くと特別な病気のように思われるかも知れませんが、日本人では約70~80%が単純ヘルペス1型に感染しているとされ、我々にとっては非常に身近なウイルスです。ヘルペスウィルスの特徴は、初感染増殖後にそのウイルス遺伝子が、生涯保持される潜伏感染状態となり、身体の状態によって自律的に再活性化する場合があります。子供の頃に水ぼうそうに罹った事がある人が、年を取ってから体調を崩した時に帯状疱疹を発症する場合がこれに当たります。
さて、この身近なウィルスであるヘルペスウィルス、なかでもヒトヘルペスウィルスは、知恵熱と呼ばれる突発性発疹の原因ウィルスであり、ほとんど全ての人が感染歴を有しています。このヒトヘルペスウィルスは、疲労の蓄積に伴って体の免疫力が低下するなど、宿主が危機的状況に陥ると自律的に再活性化し、他の宿主に乗り移るために、唾液の中に増加していきます。この唾液中のウィルス量測定によって、ウィルスに見捨てられるほどの疲れが身体に溜まっているかを知ることができるます。現在では疲労度を、ウィルス量測定という検査で客観的評価する研究が進展しています。疲労は慢性化すると、病気を引き起こす要因になります。忙しい毎日の中ですが、きちんと自分の身体に向き合って疲れを溜め込まないような生活を目指したいですね。
BY SYU
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