2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された和食は、海外でもブームになっていますが、和食に海藻は多く登場します。最近「のり」や「ひじき」などは、海外でも食べられるようになってきたとは耳にします。しかし、科学雑誌「Nature」に掲載されたフランスの研究チームが「日本人の腸内から海藻を消化する酵素が見つかった」と発表して、日本人と欧米人の腸内細菌の違いを報告しています。(この報告は、全世界の人を調べたわけではないので、他の国の人も消化できる人達もいるのではないかと思います。)
消化酵素を持たない人が海藻を食べるとほとんどが消化されずに、そのまま体外に排出されてしまいます。つまり消化・吸収されにくいから、海藻類は低カロリーと言われる要因の一つになっています。海藻が消化され難い理由は、海藻が非常に硬い細胞壁をもっているので、特殊な酵素を持たないと消化できないからです。しかし、これは「生食」の場合で、この非常に硬い細胞壁は加熱すると壊れ易くなるので、細胞壁が壊れれば、特殊な酵素を持たなくても消化できます。
そして、日本人が生の海藻を消化する酵素を持つようになったのにも理由があります。生の海藻を消化できる人の腸内には、「消化酵素を生み出す微生物」がいるのです。日本人は昔から、海藻を食べてきた歴史があり、生の海藻を食べ続けていたことで、海藻を分解できる微生物を体内に取り込むようになったようです。つまり食べ続けてきたことで、消化できる仕組みができたと考えられます。
海藻類は消化できても、日本人には、乳製品やアルコール、カフェインを体質的に苦手とする人が多いのは、欧米人が海藻を消化する酵素を持たないのと同じで、日本人の中にはこれらを消化するための酵素を持たない人が多いからです。食文化によって、消化し易い・し難い食品があるので、欧米で流行った、良いと言われた食べ物も我々に合うとは限らないのです。合わないモノを無理に食べるより、合うモノを適度に食べる方が身体には良いですね。
by ベクトル
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