ビタミンKは、脂溶性ビタミンの一種で、出血したときに血液を固めて止血する「血液凝固」に必須の役割を担っています。ビタミンKは、腸内細菌によっても産生されるので、腸内細菌叢が発達した大人では、欠乏状態に陥ることはほとんどありません。しかし、感染症治療のために抗生物質を飲んだときなどは腸内細菌が減ってしまい、ビタミンK不足になることもあるので、ビタミンKを豊富に含む緑黄色野菜や海藻類、納豆などを日頃からバランスよく食べることも大切です。
また、ビタミンKは、血液凝固だけではなく、骨の形成にも大切な役割を果しています。骨は、硬くて見かけが変わらないので、一度形成されたらそのまま維持されているものと思っている方が多いかもしれませんが、実は骨組織は、2種類の細胞が関わる「骨代謝回転」という仕組みによって、常に更新されています。破骨細胞は、古くなった骨を溶解して血液中にカルシウムを放出します(骨吸収)。一方で、骨芽細胞は、溶解面に新たな骨塩を沈着させます(骨形成)。この「骨吸収」と「骨形成」が常に起きていて、そのバランスが取れていれば、骨は常に新しく更新されながらも全体の骨量は変わらないように保たれているのです。また、骨の大部分はカルシウムやリンなどの電解質から成りますが、それを支えているのが、タンパク質であるコラーゲンやオステオカルシンです。そして、ビタミンKは、このオステオカルシンの活性化に関わっています。
オステオカルシンは骨芽細胞で作られ、ビタミンKは、オステオカルシンに働きかけることによって、骨形成を促進しています。したがって、ビタミンKが不足してしまうと、骨形成が低下して骨量が減り、骨が脆くなってしまいます。運動をして筋肉を働かせることが骨を強くさせる一番の要因ですが、しっかりと身体を動かして、バランスの良い食事を心がけたいですね。
by chirune
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