大殿筋は殿部表層に位置する筋肉で、単一筋としては人体で最大の体積を有します。また、大殿筋はヒトが進化する過程において発達したとされていて、股関節を伸展させることで体幹を直立位に保つことができるようになったと言われています。大殿筋は、腸骨の腸骨翼外面で後殿筋線の後方、仙骨の外側、尾骨の外側縁、胸腰筋膜、仙結節靭帯から始まって、腸脛靭帯、大腿骨の殿筋粗面にかけて幅広く走行していて、下殿神経(L4~S2)が支配神経となっています。
また、起始部では胸腰筋膜を介して広背筋や最長筋、多裂筋、対側の大殿筋と筋連結しており、殿筋膜を介して中殿筋と筋連結しています。そして、停止部では、大腿二頭筋、小内転筋、大内転筋、外側広筋と筋連結しており、また腸脛靭帯を介して大腿筋膜張筋との筋連結が報告されています。
作用については、股関節の伸展および外旋運動に関与することが一般的ですが、筋線維走行から上部線維と下部線維に分け、運動の軸となる股関節の中心よりも上方を走行する上部線維は股関節外転運動に作用し、下方を走行する下部線維は股関節内転運動に作用していることも確認されています。また、大殿筋は股関節の動きを通して、股関節屈曲による骨盤の前傾、股関節伸展による骨盤の後傾、股関節内転による骨盤の対側下制、股関節外転による骨盤の下制、股関節内旋、外旋による骨盤の回旋のように骨盤の肢位にも関わることから体幹の運動、姿勢にも影響を及ぼしていると思われます。
そして、骨盤・体幹の肢位へ影響することに加え、一側上肢を挙上させる際には三角筋に先行して大殿筋が活動することや、大殿筋の筋力および筋緊張の改善により上肢機能が向上することが確認されています。このことから中枢神経疾患、運動器疾患と疾患に関係なく、様々な動作場面で重要となる筋であると考えられるようになっています。実際に、この10年間の理学療法学会症例報告も大殿筋あるいは、股関節伸展筋を評価および治療対象の筋とするモノが増えています。
by 頃僕来
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