宿便について研究をした論説によると、「通常の排便では排泄できない消化管に内容物が貯留していること。上部消化管と下部消化管に穀食が停滞した状態」と解釈されています。ただ、「長い年月、腸のヒダの中にヘドロのようにこびりついて、排泄されず腸を汚している」といった状態は、嘘です。なぜならば、腸の粘膜の代謝はとても速く、2日おきに生まれ変わっているからです。
宿便と言われるタイプは、3つに大別されるようです。
① 滞留便
通常、大腸の奥(上行結腸)には下水のような食べ物カスが混じった液体が入っています。しかし、便が出ない、出ても少量の日が続くなどの時、この右側のウエスト辺りにある大腸(右結腸曲)付近に、固形の便が詰まったように溜まることがあります。ガス腹と激しい腹痛が起こり救急車で運ばれた方が、お腹のレントゲン写真や腹部CT検査の結果、医師から「便秘ですね!」と言われた人はとても多いです。一般的に医療従事者が認識している「宿便」とは、この滞留便を示しているようです。
② 未消化便
胃と大腸の間にある「小腸」は主に栄養分を吸収する場所で長さにして5~6mくらいの細い管で、一定の規則的なリズム(分節運動)で動いて、消化と栄養分の吸収をおこなっています。しかし、大腸の動きが悪くなることで、小腸内に内容物が停滞しギッシリと詰まりお腹が硬くなってしまいます。数日間、断食をしたことで、黒っぽいヘドロのような臭い便が大量に出てスッキリした、という場合は、このタイプの宿便です。
③ 脱落した腸粘膜
長期間の絶食や断食が続いた時にこげ茶色のヒモのような長い便が排泄されることがあります。この排泄物をみた人たちは、きっとこのヒモのような物体をみて、「これが本当の宿便だ」と思うかもしれません。この茶色のヒモのような排泄物の正体は、脱落した腸粘膜です。腸には約1,000種類、重さにして約1.5kgの腸内細菌が住みついて、私たちの健康に貢献してくれています。この腸内細菌は、毎日食べる食物をエサにして生きています。食べものカスを発酵させ自分たちの栄養素を作ったり、分泌物を出して腸の粘膜を動かしたりしています。ところが、この栄養素がストップすると腸の中で生息している腸内細菌が餓死してしまいます。栄養分を補給されていない腸粘膜は、ある時ゴソっと一気に脱落してしまうのです。
世間で言われている宿便は、嘘ですが、「宿便」という言葉は、”腸内環境が悪化して老廃物の排泄能力が低下している状態”をイメージするのに、とても分かりやすい表現なので、便宜上使っているようです。
by グランブラー
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