一般的には、急性炎症を生じる「急性扁桃炎」と、その症状が長く続く「慢性扁桃炎」があります。どちらも、のどの痛みや発熱、倦怠感などの症状を伴うほか、食べ物や飲み物、場合によっては唾液まで飲み込めなくなるほどの強い痛みが現れることがあります。
急性扁桃炎の原因は、溶連菌などの細菌やウイルスです。原因となるこのような病原菌は風邪や疲労、ストレスなどによる免疫力の低下によって増殖し、のどの乾燥や急激な気温の変化なども影響します。急性扁桃炎が繰り返される場合、慢性扁桃炎の1種である習慣性扁桃炎又は、反復性扁桃炎といいます。このような習慣性扁桃炎は、1年に4回以上の頻度で繰り返されるものを指します。炎症は深部まで達していることが多く、全身状態の変化によって炎症が広がることがあります。慢性扁桃炎には慢性単純性扁桃炎、習慣性扁桃炎、扁桃病巣感染症の3つが含まれます。単純性扁桃炎は成人に発症することがほとんどであるという特徴があります。その原因としては急性扁桃炎から移行する場合と、喫煙や飲酒、刺激となる化学物質の吸入などによる持続的な刺激から引き起こされることが挙げられています。
扁桃炎の原因菌は、A群β溶連菌(溶血性連鎖球菌)、インフルエンザ菌、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌の4つが多いですが、ウィルスが原因となることもあり、いずれも他人に感染します。感染の経路としては、くしゃみなどによって飛び散る飛沫感染と、手などで触れることによる接触感染があります。原因のひとつであるアデノウイルスは非常に強い感染力をもち、プールの水も感染経路になります。子どもに多い夏風邪の原因のひとつとされており、扁桃の炎症、発熱に加えて、目の結膜の炎症が症状としてみられます。扁桃炎の原因はウイルスもしくは細菌であり、原因がどちらであってもほかの人にうつる可能性があります。このため急性扁桃炎を患っている人だけでなく、周囲の方も感染予防のために手洗いやうがいを行うことが大切になります。
予防には、体の免疫力を高めておくことが大切であり、栄養バランスのよい食事と十分な睡眠をとること、体を動かすこと、ストレスをためないことなども重要です。急性扁桃炎への早期対応が慢性扁桃炎の予防につながります。このような急性からの移行に加えて、慢性扁桃炎は化学物質などの刺激から起こることもあり、刺激物の吸引を少なくして室内の換気を十分に行うことが予防につながります。
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