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日本人の身体

 食の欧米化と言われ、この50年でお米の消費量は半分になりました。それに代わって肉類、乳製品の消費が伸びています。しかし、それ以上の年月に渡って受け継がれた体は簡単には変わりません。日本人の胃腸は、ご飯などの穀類を中心に作用するように機能し、脂肪の摂取には適さない身体になっています。欧米人とくらべて体温が低く、胃酸やインスリンの分泌量が少なく、アルコールに弱く、腸内環境が良好なのも日本人の特徴です。
 日本人は、背中の青い魚を食すので、日本人の血液はEPAとDHAの濃度が高いため、コレステロール値が上がっても動脈硬化がなかなか進みません。また、豆腐、みそ、納豆などの大豆製品を米国人の700倍食べており、この大豆製品に含まれるイソフラボンは心筋梗塞や乳がんの発症をおさえます。日本人のカルシウム摂取量は米国人の半分で、不足しがちと言われています。ところが、牛乳をしっかり飲んでいるはずの米国人は骨粗鬆症の発症率が日本人の二倍高いのです。体質は遺伝で決まる部分と、食生活や運動、ストレス、睡眠などの生活習慣で変わる部分がからみあってできています。世界保健機関(WHO)の統計によると、日本人は平均寿命世界一ですが、日本人は世界一丈夫な体に生まれついているわけではありません。
 米国に移住した日系人は、心臓の血管の動脈硬化が米国白人よりはやく進み、糖尿病や大腸がんの発症率も欧米人を上回ります。日本人の長寿は強い遺伝子に恵まれたからではなく、かなりの部分を生活習慣が支えているのです。日本人が、いま、世界一の体質を受け継いでいるのは、長い年月にわたって祖先が体をいたわり、自然の恵みを大切に生きてきたおかげです。和食は、日本人の体質に合っており、古代の日本人も疲れると木陰でおにぎりを食べ、元気を取り戻していました。なんと1400年前の古墳時代の遺跡から、木の皮でできた弁当箱に入ったおにぎり八個が炭化した状態で発見されています。
どうすれば健康でいられるかを科学的な知識と体の声に耳をすませば、我々は健康で長寿を楽しめるはずです。
by ドクトル・ノブ
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