脂質代謝の改善効果があると言われている食品について時間栄養学的な実験を行ったところ、朝にだけDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)の入ったエサを食べさせたマウスと、夕方にだけ食べさせたマウスを比較してみた結果、朝にだけ食べさせたマウスの血中の中性脂肪が、夕方に食べさせた場合にくらべてはっきりと下がることが確認されています。肝臓中性脂肪やコレステロールを見ても、やはり朝に食べたマウスだけ下がってきます。
DHAやEPAなどの体に良いとされる「オメガ3系多価不飽和脂肪酸」は、朝に摂取したほうがより効率的に吸収されることも明らかとなり、このことが朝に摂取したほうが効果が出やすいことにつながっているようです。
時間栄養学という分野は非常に新しくて、本格的に研究されるようになってきたのはここ4~5年のことで、日本でも進んでいます。欧米ではサプリメントがとても流行っていますが、たくさん摂ればいいというような考え方で、大量に摂取するのには、抵抗がある方も多いと思います。そこで、あまりサプリメントに頼らずに、日常の食生活の中で、食品の機能性を有効に使おうという発想が、時間栄養学探究の原動力のひとつになっています。体に良い栄養素だけを無理にたくさん摂るのではなく、いつもの食事に含まれている栄養素をうまく使って生活を改善していこうという時間栄養学の発想は、日本人のきめ細やかな性格にもあっているのかもしれません。
生まれながらに備わっている「体内時計」のメカニズムを、最先端の科学の知見を通して、より人が健康になるために利用する研究は、まさに自然の力と人間の知恵をうまく融合させたものと言えます。自然の作り出した24時間周期のリズムを無視するように活動時間を広げてきた現代社会において、ますますこのような取り組みが必要になってくると思われます。
by ベクトル
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