一般的には知られていませんが、身体を支えるために重要な働きをする筋肉が横突棘筋です。横突棘筋は、身体の深層にあり背骨に作用することで、姿勢の保持や動作が成立しています。その横突棘筋(半棘筋、多裂筋、回旋筋)の一つである多裂筋は、脊柱の両側にある小さな三角形の筋と腱の束で、椎骨の横突起と棘突起の間の溝を埋めるように存在していて環椎を除くすべての椎骨に停止します。多裂筋は、深部の固有背筋の一部で半棘筋の深層にあり、回旋筋の表層にあって最も太い筋肉です。多裂筋は脊椎の全長にわたっていますが、腰部で最も発達しています。多裂筋が属する横突棘筋群は、いずれも背中と頸部の伸筋として作用し、直立姿勢で継続的に活動しており、すべての抗重力活動で活動しています。多裂筋の両側性収縮は、椎骨を伸展させて、片側収縮は反対側へ椎骨を回転させます。背骨が動くときに椎骨を安定させるような補助的な強度を与えていると考えられています。
例えば、腹斜筋が収縮して体幹の回旋を生み出すとき、体幹のある程度の屈曲も発生しますが、多裂筋はこの体幹の屈曲に対抗して純粋な軸回転を維持し、体幹回旋時の安定させるための装置(スタビライザー)として作用します。腰部においての多裂筋は、腰椎を安定させる重要な筋肉で、腹横筋や骨盤底筋と一緒に機能し、背骨を安定させます。つまり、多裂筋は重要なコアマッスル・スタビライザーの1つで、静的および動的な脊柱の安定性に重要な役割を果たしていると言えます。
多裂筋の弱さは、腰痛と関連していて、慢性腰痛を有する患者が、脂肪置換を伴う多裂筋の萎縮がMRIで確認されています。体幹筋は脊椎の安定性に寄与することが指摘されていて、腰痛を有する人には運動が重要と考えられています。特に横突棘筋のような深層の筋肉は、表層の筋肉よりも脊椎の強度と安定性に寄与しているので、これらの筋力低下は、慢性的な腰痛に繋がってしまいます。深部の筋肉にも作用させるような運動を心掛けていただければと思います。
by 筋治狼
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