飲酒運転の疑いがあるとして警察に車を停められた男性が、男性は一貫して飲酒を否定し続けていました。呼気検査を拒んだために病院へ連れて行かれ、検査の結果、血中から0.2%のアルコール(許容量の約2.5倍、1時間にアルコール飲料10杯を飲んだ量に匹敵)が検出されました。男性は絶対にアルコール飲料は飲んでいないと言い張ったが、医師にも信じてもらえませんでした。しかし、米リッチモンド大学医療センターが調べた結果、男性はビールもカクテルも飲んでいなかったにもかかわらず、消化器官の中に酵母が存在していて、その作用で食品の糖分からアルコールが造られていたことが分かりました。つまり、体内でビールを醸造していたような状態だったということです。
研究チームは消化器病学会誌に消化管に酵母があって、摂取した食品の糖分から体内でアルコールがつくられる「腸発酵症候群」を発表しました。この作用は一般的に、胃と小腸の一部で構成される胃腸管の中で起きますが、男性が数年前に服用していた抗生剤が原因で腸内細菌に変化が起き、消化管の中でイースト菌が生成されるようになったと推測しています。男性は腸内細菌の正常化を助ける抗真菌療法やプロバイオティクス療法を受けた結果、1年半後には症状が出なくなり、元通りの食生活に戻ることができました。
肺炎や膀胱炎などの感染症の時には抗生物質を投与しますが、抗生物質は悪い細菌だけでなく腸内細菌にも影響を与えてそのバランスを崩してしまい腸発酵症候群などを起こすだけでなく、パーキンソン病を発症した人は、そうでない人に比べて抗生物質の使用が多いという報告があります。抗生物質による腸内細菌叢の乱れがパーキンソン病の原因物質αシヌクレインの蓄積に繋がっているようです。それ以外の疾患も抗生物質が原因になっているモノが多々あります。無暗に抗生物質を服用することは、考えたいものですね。
by 自奇留
クリックお願いします。
コラム
COLUMN
人気の投稿
最近の投稿
アーカイブ
CONTACT
お問い合わせ・ご予約はお気軽にどうぞ
お問い合わせフォーム
06-6645-5885