多くの食品会社は「美味しくない健康食を長く摂取してもらうため、いかに美味しくするか」に知恵を絞っています。しかし、美味しさを優先するあまりに「美味しいけれど健康的とは言えなくなる食品」も少なくありません。その代表が「飲みやすいお酢」です。
酢は、穀物や果実をアルコール発酵させたもので、純米酢、玄米酢、黒酢、バルサミコ酢、ワインビネガー、リンゴ酢などが有名です。酢酸と呼ばれる成分が独特の酸っぱい味をつくるため飲みにくい半面、クエン酸やアミノ酸が豊富なことから疲労回復効果が期待されています。また、肉や魚などを酢漬けにすると、老化促進物質のAGE(終末糖化産物)が低く抑えられることも知られています。
酢はそれだけ体に良い、優れた食品ですから、「調味料」としても世界中で広く使われています。ならば、飲んだら手っ取り早く健康になるのではないか、と考える人が出てくるのは当然です。お酢を飲むこと自体は悪いとは思いません。しかし、問題は本来飲みづらい、おいしくないお酢を、飲みやすくするためにどのような物質を添加するか、です。
お酢は水で薄めたとしても酸っぱくてむせることが多く、飲みやすいものになるとはいえません。そのため、食品会社はブドウ糖やハチミツ、果糖などが添加された糖質の多いお酢を登場させています。そうすると、口当たりが良いお酢になり、飲んでも抵抗がありません。毎日でも飲むことができます。
こうした商品は当然「健康に良いお酢」が強調され、お酢の効能が盛んに紹介されます。多くの人はそればかりに目を留めるため、目立たないように小さく記載されている糖質の量には気がつきません。その結果、自分自身では「健康に良いお酢」を飲んでいるつもりでも、実は糖質の多い飲み物を飲んでいるのです。お酢は、調味料として利用する方が良いようですよ。
by 珍香鈴
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