人間の脳の特徴として、「脳溝(のうこう)」と呼ばれる、いわゆる「脳のシワ」と呼ばれるものがあります。とくに大脳皮質と呼ばれる部分に大きな脳溝が見られ、近縁種の動物で比べると、ニホンザル<ゴリラ<チンパンジー<ヒトという順に、脳溝が多くなります。「脳のシワが多い方が賢い」なんて聞いたことはありませんか?確かに人間でも、赤ちゃんの脳には脳溝が比較的少なく、成長に伴って脳溝が発達して増えますので、やはり脳溝が多い方が頭が良い様に思えてしまいますよね。
しかし、この地球上には、私たち人間よりはるかに多くの脳溝をもった動物もいます。それは、クジラやイルカです。特にイルカは、人間とコミュニケーションができて、人間よりも知能レベルが高いと唱える学者もいるくらいですから、「やっぱり脳のシワが知性の証だ」と思いたくなります。ただ、クジラやイルカは海で暮らし水中を泳がなければなりません。脳が大きくなると必然的に頭も大きくならざるをえず、そうなると水の抵抗など、水中での生活に支障をきたすため、頭蓋骨を小さくして、その中に必要な脳を詰め込んだ結果、シワクチャの脳になったと考えるのが妥当のようです。人間も同じで、生まれたときから頭蓋骨の大きさがだいたい決まっており、その限られたスペースの中でそのまま脳が成長していくと納まらなくなってしまうので、脳溝を設けたというのが本当のところのようです。
『考えるはたらき』を良くするために大脳の面積は広くありつつも、ニューロンによる情報と伝達の効率がよくなるよう、シワを作ることで頭がい骨にきちん収まるようになります。ただし、脳の研究はまだまだわからないことばかりです。ですから、脳のシワが多いというだけで、人間の知能を説明できません。私たち人間の脳は、他の動物よりも大きくて、シワも多い様ですが、それだけで人間の知能の高さを測る、決定的な要素とは言えないのです。
by chirune
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