肥満になると、高血圧症や糖尿病など生活習慣病になりやすいといわれますが、実際にはそれほど太ってもいないのに病気になっている人が少なくないようです。日本人を含むアジア人では、BMI ＝ 体重kg ÷ (身長m)2乗が25未満とそれほど太っていないのに糖尿病やメタボリック症候群などになる人が少なくなく、最近ではこれを「やせメタボ」と呼んでいます。
　順天堂大学大学院の田村好史准教授らが、この原因として注目しているのが「脂肪筋」と考えています。「筋肉の細胞の中に脂肪が過剰にたまった状態。太っていない糖尿病患者でも、脂肪筋になっている人が多いことがわかっている」と田村准教授は仰っています。通常、脂肪は皮下や内臓などの脂肪組織に蓄積されますが、「異所性脂肪」といい、筋肉や肝臓など別の場所にたまることがあります。これが筋肉に過剰に蓄積するとインスリンの働きを阻害すると考えられています。
　インスリンは膵臓から出るホルモンで、食事から取る栄養の一部はブドウ糖に分解され、血液で筋肉や肝臓など臓器に運ばれる。その際、インスリンが働くことで筋肉と肝臓がブドウ糖を取り込むことができます。ところが、脂肪筋(質の悪い筋肉)になるとインスリンが十分に作用せず、ブドウ糖をうまく取り込めなくなります。この結果、血糖値が上がり糖尿病やメタボリック症候群になる危険性が増すと考えられます。
　肥満には分類されないBMI23以上25未満の人でも、高血糖、脂質異常症、高血圧のどれか1つでもあると、肥満の人とほぼ同程度に筋肉でのインスリンの働きが低下していることが判明しています。「対策は運動が最も効果的。脂肪筋は運動の効果が表れやすく、内臓脂肪や皮下脂肪よりも早く減る」と確認されています。これまでは太るとインスリンが働きにくくなるといわれてきましたが、太っていなくても油断はできないようです。運動して、筋肉の働きを高めることで完全されますので、是非簡単な運動から始めてください。
by　コオロギ

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