ウォーミングアップは、体温や筋温を上昇させることで障害予防やパフォーマンスの改善につながると考えられています。ウォーミングアップによる体温や筋温の上昇が柔軟性、敏捷性、力発揮などに有効的であることが確認されています。
・筋や関節の硬さの低減により身体の柔軟性の向上
・神経伝達速度の向上により敏捷性の向上
・筋の力-速度関係を変化させ、力、パワーの向上
・エネルギー供給を増加させ、持続時間を向上
体温の上昇による筋や関節の抵抗や硬さの軽減は筋の動きの速度を上げることを意味します。その結果、身体動作が円滑化されて無駄なエネルギー消費を無くすため、パフォーマンスの改善が期待されることになります。この他にも関節動作の可動域が増すことにもつながり、競技種目によってはパフォーマンスの改善、障害予防にもつながります。さらに、体温の上昇は運動中のエネルギーの供給を増加させることが確認されています。特に、短時間での瞬発的な運動によるエネルギーの供給に効果的であることから、ウォーミングアップはパワー発揮も高めることが期待されていす。呼吸循環機能では、ウォーミングアップによる体温の上昇によって安静時の酸素摂取量が向上します。神経伝導速度も温度が1°C上がるに従って毎秒2m速くなると報告(Currier, 1982)されており、それにより各機能の向上や循環改善に役立っていると考えられています。したがって、ウォーミングアップはその後に実施する練習、試合でのスポーツパフォーマンスの改善に有益であることがわかります。
ただし、ウォーミングアップの内容が重要です。ウォーミングアップの強度が高すぎて疲労が蓄積されてはパフォーマンスの改善は期待できません。一方で、疲労を考えすぎてしまい、体温が上昇しないウォーミングアップを取り入れても、パフォーマンスの改善は望めません。適度な強度、時間が必要になります。
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