“サイトカインストーム”という危険な免疫過剰反応が、若い新型コロナウィルス感染症(COVID-19)患者の死亡例にも関与していると考えられています。
サイトカインとは、わたしたちの免疫システムが病原体と戦う際に放出される物質のことで、細胞が病原体から攻撃を受けるとサイトカインシグナルを出して免疫細胞を呼び出しますが、このサイトカインはときに1カ所で過剰に活性化され、制御できない嵐のようなレベルで放出されることを「サイトカインストーム」と呼んでいます。
COVID-19の発症から治癒までには、まず患者は最初の1週間ほど、かぜの症状、ひどい人ならインフルエンザのような症状を経験して、だいたい7日目には、これらの患者は少しだけ症状がマシになったと感じるような奇妙なパターンがあります。ところが、軽症と重症化の明暗が分かれるのが7~10日目で、軽症の患者はそのまま快方に向かいますが、重症化する患者は少しだけ気分がよくなったあと、突然悪化するというサイトカインストームが起きています。
COVID-19の重症化は、ウイルス自身が原因というより、自己免疫によるサイトカインストームが肺をはじめとした複数の臓器で炎症を引き起こし、患者自身を死に至らしめると考えられています。免疫システムの暴走や、酸素不足と広範囲に及ぶ炎症は、腎臓、肝臓、心臓、脳、その他の臓器にもダメージを与えます。COVID-19の重症化する可能性が低い持病のない健康な若者が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)で亡くなる理由は、自身の免疫攻撃によるサイトカインストームの結果で生じることが多いと考えられています。
本来、自分の身体を守る物質が、攻撃する側に回ってしまうのも、過剰に衛生的になったことが背景にあるかもしれません。ホドホドが一番良いようです。
by 太久籠
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