マイオカインとは、骨格筋から分泌される生理活性物質の総称で、ギリシャ語の myo-(筋)と kine-(作動物質)から作られた造語です。筋肉は、これまで分泌器官とは全く考えられていませんでした。しかし、肝臓,骨,心臓、脂肪など全身の様々な器官からホルモン様の生理活性物質が分泌され、全身を巡り、他の臓器とコミュニケーションをとりながら全身性に代謝調節を行うことが明らかになってきたことで、筋肉もその 1 つとして注目され出しました。
マイオカインの存在は、古くから提唱されていましたが、本格的な研究がされるようになってきたのは15年ほど前からで、比較的に新しい考察です。これまで数十個のマイオカインが報告されていますが、マイオカインの研究が開始された初期のころから注目されている分子としてサイトカインの1つであるインターロイキン-6(IL-6)です。IL-6は、運動後に血液中に上昇することが以前から知られていました。当初は「激しい運動により、骨格筋が炎症をおこすことで免疫細胞から分泌され、血液中に上昇する」と考えられていました。しかし、「筋が損傷しないような運動でも血液中のIL-6 の上昇が観察される」、「運動直後に上昇したIL-6 はその後、すみやかに元のレベルに戻る」、「運動させた筋で IL-6 の遺伝子発現が増加している」、「片方の脚の運動をしてもらい大腿静脈で IL-6 量を測定すると、運動した脚から戻ってくる静脈中にのみ IL-6 の上昇が観察された」ことなど、複数の証拠によって運動による血液中の IL-6 レベルの上昇は骨格筋細胞からの分泌によることが確認されました。
また、いくつかの研究で、骨格筋細胞に電気刺激を与え一定時間収縮させ、研究を開始した当初は、マイオカインは「収縮すると分泌が増加する調節性分泌の分子である」という仮説の下研究を進めていましたが、マイオカインの中には、収縮によって分泌が変化しない分子も多く存在していることが明らかとなっています。収縮刺激が分泌のトリガーとはならない構成性分泌様式のマイオカインも存在し、筋肉が弛緩する時もマイオカインの分泌が行われていると思われます。つまり運動することで筋肉が活動することがマイオカインの分泌に繋がっているので、健康のために身体は動かさなければならないということですね。
by 筋知良
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