ある有名芸人さんが、うつ病のため休養することになり「手術の侵襲(しんしゅう)によるストレスが要因」と発表されました。人体は、内部環境を一定に保とうという働きを恒常性(ホメオスタシス)と言って、これを乱す可能性がある刺激を侵襲と言っています。例えば、手術、注射、投薬などの医療行為や外傷や感染症などです。
この芸人さんのうつ病発症の経緯の詳細はわかりませんが、一般的に手術は、体に大きな刺激を与えるだけでなく、そのストレスは、心にも影響を及ぼします。これまで元気に過ごしてきた方が「病人」になり、自分がこれまで築いてきた役割や立場が変化したり、変化するのではないかと不安を感じたりすることで、気持ちの落ち込みが起こり易く、仕事や家庭で、で頼りにされる存在で責任感が強い方ほど、自分の役割を果たせないということで自分を責める気持ちに陥り易いようです。また、がんなどの病気においても、“一家を支える大黒柱”という役割から、手助けを必要とする立場になることで、自己肯定感が失われることなどがあるようです。
更に、手術自体は成功しても、身体には違和感がしばらくの間続くことが影響し、「その状態で出来ることをすればいい」というくらいのスタンスで仕事やその他の日常を過ごせればいいのですが、そうしたゆとりがない場合は違和感がある状態に適応できず、うつ状態に陥ることもあるようです。
侵襲があった後こうした状態を乗り切るには、ペースを緩やかにスタートすることが必要です。手術やけがなどのストレスで、うつ状態に陥ることは多いようですが、その場合に周囲は身体の状態のケアだけでなく、その方が自己肯定感を保つことができるように配慮していただくことが大事で、ゆっくりのペースで復帰することが全く問題ではないこと、調子が完璧でなくてもその状態で出来ることをすれば大丈夫ということを伝えていくようにすることが必要です。
by 珍香鈴
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