人間が生きていくためには呼吸をすることが必要です。その空気の通り道である気道、あるいは横隔膜や肺を覆う胸膜に何らかの刺激があると、その刺激は神経を伝って延髄に到達し、反射が生じます。この反射は咳として症状に現れます。例えば、風邪を代表とする呼吸器の感染症の場合、気道に存在するウイルスなどの病原体を排除しようとするために咳をすることになります。なので、咳は人間の身体を守る防御反応の1つと言えます。
咳の原因を大別すると、緊張やストレスなどで出る心因性のもの、循環器系に異常がある時に出るもの、呼吸器系に異常がある場合の三種になります。また、これら以外に胸膜、耳、胃、子宮などからの刺激によることもあるようです。これらの原因の中で一番多いのが、呼吸器系に異常がある場合の咳です。更に、タバコ(喫煙)やガスなどの化学的なもの、声の使い過ぎによる機械的なもの、アレルギー性のもの、癌(悪性腫瘍)などの新生物によるもの、そして感染によるものの五種に分けられます。
また、咳の性質によって、痰(痰唾)を伴わない乾いた咳の乾性咳嗽と、痰をともなう湿っぽい咳の湿性咳嗽に大別されます。風邪の場合、初期には乾性が多く、炎症部位が下気道に及ぶと湿性となります。咳をするときに、痰が絡むことがありますが、健康な状態であれば喀痰は出てもわずかです。痰が出るという場合には、気道の炎症が原因となっていることが多く、病気によっては特徴的な色がついていることもあります。また、肺結核や気管支拡張症、肺炎や肺化膿症などの感染症、時には風邪をひいてノドの炎症が強い場合などは、血のついた痰が見られることもあります。
咳は異物を外へ出す防御システムということから、咳を薬剤によって無理に止めてしまうと、かえって長引いてしまいます。薬局やドラッグストア、コンビニが身近にあるので、市販の薬を服用される方も少なくはないと思いますが、なるべく服用しないようにする方が良いと思います。もし、薬を服用するなら、一度受診して症状に合った薬を処方してもらう方が良いと思います。
by 自奇留
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