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変形性股関節症

 変形性関節症は、軟骨の変性や滑膜の炎症によって関節に痛みが生じる疾患で、進行すると関節が顕著に変形します。関節の変形は、全身のどの関節にも発生しますが、体重がかかる下肢関節は変形性関節症の頻発部位です。特に、変形性関節症は、女性に多い疾患ですが、膝関節症は高齢女性に多い疾患で、股関節症は比較的若い年齢層にも多い疾患です。それは、妊娠(体重が増加)、出産(胎児が骨盤を通過するときに、仙腸関節は大きく動くので、股関節も影響する)との関係も大きく、臼蓋(股関節の受け皿)が、男性よりも甘くなっている人が多いということも原因の一つです。だから、体重増加や筋力低下、筋肉の偏った発達などで、股関節症になるリスクは高くなってしまいます。
 症状としては、股関節付近の痛みや違和感が発生します。初期は、主に歩行や立ち座りなどの動作時に痛みが生じます。進行すると、歩行時には常に痛みを感じるようになり、椅子に座っている時や就寝時など安静時にも痛みが生じます。痛みと共に、関節変形の進行により股関節の可動域が狭くなることで、入浴、更衣、爪切りなどの日常生活動作が制限され、QOLの低下をきたします。
 股関節症の歩行では、主に痛みのために歩行速度や歩幅が減少します。また、患側(痛みが強い側)と非患側(痛みがない/弱い側)で歩幅や単脚支持期に差が見られ、患側の脚を引きずるように歩行することが多いため、体幹を非患側に傾けたり、体幹を左右に揺らしながら歩行するので体幹による代償動作が多く現れることが特徴的です。
 関節にかかる力学的な負荷が発症や進行の要因になると考えられていますが、一歩の中でかかる関節負荷に、一日の活動量(歩数)を乗じた股関節累積負荷(立脚期の股関節内・外転モーメント積分値と 1 日の歩数の積)が、リスクファクターとして注目されています。一歩の中でかかる関節負荷は大きくなくても、 体重増加や運動不足での筋力低下、偏った身体の使い方などが、累積負荷となって傷害に繋がります。股関節累積負荷を減らすためには、適切な歩行動作だけでなく、低下した筋肉群の働きを高めること、体重の管理も重要になるため、治療として日常生活への介入も有効な手段と考えられています。
by 自奇留
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