腰は5つの椎骨と仙骨、そして、それぞれの骨の間にある椎間板というクッションからできています。この椎間板、または椎間円板は、椎骨と呼ばれる脊柱を構成している一つ一つの骨の間に存在する円形の線維軟骨で、ゼラチン状の髄核とコラーゲンを含む線維輪から成っており、椎骨にかかる衝撃を吸収し、椎骨の微妙な動きを可能にする軟骨関節を形成し、靭帯とともに脊椎を保持する役割を持っています。これらの後方には脊柱管という管が腰骨の中にあって、ここを神経が通っています。この繊維輪部分が押圧されて出っ張って、それが後ろにある神経を圧迫して痛みやしびれ、運動障害などを起こすのが腰椎椎間板ヘルニアです。
ある実験で、椎間板ヘルニアで炎症のあった所に小さな風船を入れておき、麻酔から覚めた後に膨らませると、痛みを起こします。しかし、炎症のなかった神経根の所で風船を膨らませても、違和感などを感じますが、痛みは起こらなかったのです。つまり単なる圧迫では、痛みこらないと言うことなのです。一般的に体の一部分を押しても痛くはないですが、叩いたりしてその部分が赤く腫れ上がると、触っただけでも痛いです。ヘルニアでは、単に神経を圧迫しているだけでは痛みはありませんが、、その部分に炎症が伴っている場合は痛くなります。そして、以前はヘルニアは引っ込まないと考えられていました。しかし、近年MRIで経過を観察したところ、出っ張った部分がなくなったり、縮んだりする場合もあることが相当数確認されています。
また、ヘルニアの手術を受けた患者さんの 1年後では、手術を受けたほうが良いと答えた方が、約50%ですが、4年後の回答では、受けた方が良いと答えた方が10%未満になっています。ですから、椎間板ヘルニア治療は、出っ張ってしまったヘルニアを引っ込めることではなく、その部分に集中している負担を軽減させて、腰に負担のかからない状態、姿勢を獲得していただくことが、炎症を取り除いて腰の痛みを改善させる良い方法だと思います。
by ベクトル
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