一般的に冷たい飲み物より温かい飲み物の方が良いといわれています。確かに温かい飲み物は身体を温めてくれますが、温かい飲み物ばかりを飲んでいると食道や胃に負担がかかることは意外と知られていないようです。
それを証明するために、20歳代の女性を被験者とした研究報告があります。女子大生、女子大学院生27名に15度の水250ml、65度の湯250ml、65度の湯150mlを飲んでもらい、胃電図を測定する、という研究です。この実験では、65度の湯を飲んだ場合、150mlと250mlともに10分後に胃が活発に動いていることを示す「正常波」の出現頻度が増え、15度の水を飲んだ場合は、10分後に一度、正常波の出現頻度が下がった後、20分後以降は温かい飲み物と同じくらいの頻度が確認されました。また、飲んだ量が多い方が10分後の正常波のパワーが強いことが分かりました。この研究グループは、温かいものはそのまま消化、吸収されますが、冷たいものは一旦、胃の中で温まるのを待ってから消化、吸収されます。さらに、温かい飲み物に関しては、65度で提供されたものを火傷しないよう冷ましながら飲んでいたため、胃に到達する頃には40度くらいになっていると考えられるので、冷たいものを飲んでも温かいものを飲んでも、胃での消化吸収は体温に近い温度になるまで待ってから行われているようです。
そして、温かい飲み物で身体を温めてばかりいると、体内の熱産生が行われにくくなるのではないか、という説もあります。温かい飲み物で身体が温まることで、身体はそれ以上体温を上げる必要はないと考え、熱産生を活発に行わなくなるのではないか、というのが理由です。さらに、国立がん研究センターの科学的根拠に基づくがん予防で、がん予防のひとつとして「飲食物を熱い状態で取らない」としています。消化吸収や消化器官の負担を考えれば、温かい飲み物を飲む場合でも熱すぎるのは考えもので、体温に近い温度の飲み物を選ぶのが身体にやさしいといえるかもしれません。
by chirune
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