アルツハイマー病に違いないと自身で診断し、物忘れ外来を受診される人の中には、日常の物忘れに纏わるエピソードをとても心配して来院される方も少なくないようです。「先日、大切な約束を忘れてしまった」「いつも、メガネの置いた場所がわからなくなって、大騒ぎをする」「人の名前が覚えられない、思い出せない」、ときには「買い物に行ったが何を買うのか分からなくなって、帰ってきた」などなど。しかし、このようにご自分の物忘れ体験を細かく覚えていると言う事は、認知症ではない証です。
集中力を欠いていたり、多くの情報が一度に押し寄せていたり、本人がパニックに陥っていたりすると、それが原因で物忘れが生じます。通常の物忘れは、自分の体験の「一部」を忘れるのが特徴です。「約束は、忘れても誰と約束したかは覚えている」、「名前は、忘れても顔は覚えている」、「何を買うのか忘れても買い物に行ったことは覚えている」等は、しっかりとした記憶です。それに対して、認知症の物忘れは、自分の体験の全てを忘れてしまいます。ですから、自分自身で詳しく物忘れのエピソードを説明する事はできないし、しません。多くは、物忘れに対しての自覚がないので、アルツハイマー病を心配して「物忘れ外来に受診」する方が良い、と思うこともありません。そして、物忘れがだんだん進行すると、日常生活の当たり前のようにできていた行為がうまくできなくなってきます。
高齢者の中には、認知症ではないけれど、ごく普通の物忘れの人に比較すると、その頻度や程度がひどい人がいます。このような方を軽度認知障害(MCI)と言います。日常の生活は問題なく営めるが、自他共に物忘れがひどいことを認め、記憶に関する心理テストを行うと正常の人より明らかに記憶力が低下しています。軽度認知障害と診断された方は、一般高齢者よりもアルツハイマー型認知症になる可能性が高いとの研究報告もあります。予防・改善のために運動したり、生活習慣を見直すことを強くお薦めいたします。
By ルン
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