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筋肉の中に薬?

 昔から糖尿病治療に使われているメトフォルミンという薬は、ユリ科の植物から抽出する物質で、血糖値を下げる効果はありますが、なぜ糖尿病に効くのか分からないまま使われていました。この物質も、筋肉中に存在する酵素のAMPキナーゼを活性化していることが最近になって判明しました。つまり筋肉に存在する物質が、もたらす効果を証明する薬だったわけです。
 それにより、インスリンの働きが悪い糖尿病の患者さんであっても、運動すると健常な人と同じぐらい筋肉への糖の取り込みが盛んになることが発見されました。糖尿病の患者さんは日本だけでも約700万人、その予備軍1300万人を合わせると総計2000万人いると言われます。すい臓の細胞が壊れるⅠ型と、インスリンの情報伝達がうまく機能しなくなるⅡ型がありますが、日本人の糖尿病のほとんどはⅡ型です。これまでインスリン以外の治療を諦めていたⅡ型の患者さんに新しい治療の道が開けたことは、とても意義のあることです。
 そして、その効果は、低い運動強度でもAMPキナーゼが活性化されることが確認されており、無理に頑張って激しい運動をする必要はなく、効果が期待できるところも運動が億劫になっている方には朗報と言えます。運動が健康に良いことは分かっているのに、実際には運動しない人が多いのは、シューズやウエアを買ったり、気合を入れたり、こんなイメージでは、長続きしないだけでなく、億劫になるのは当然です。日常生活で必要とされる身体活動のレベルを、少しでも超えるものは全て「運動」と考えていただいて良いと思います。どの運動を選ぶかより、“運動する”か“運動しない”の違いの方がものすごく大きいのです。
 ヒトの身体は、動くことを基準に造られていますので、動かさないことで身体に不具合が出るのは、当然です。構えずに気楽にできるところから、取り組んでみてくださいね。
by 筋知良
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