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胆のうが弱ってる?

 現代人の食生活は加工食品が多く、環境毒素や心理的ストレスの攻撃も受けているので、胆嚢の機能が弱っている人が多いようです。弱った胆嚢にたまった胆汁は、ドロドロになっていて「毒性の胆汁」などと呼ばれています。胆汁が毒性になる原因は、「脂肪分の多い食事」「加工食品の毒素の蓄積」「胆管の詰まり」に加え、レシチンなどの胆汁を健康に保つ栄養素が足りないこともあげられます。また、血糖値が高いと胆汁がドロドロになったり、胆石ができたりするという研究結果もあります。
 ある動物実験によると、肥満の個体が分泌する胆汁の量は痩せた個体のわずか半分でしかないと報告されています。アメリカ心臓協会の機関誌「動脈硬化症、血栓症、血管生物学」で発表されたある研究では、胆石ができると冠動脈疾患のリスクが約23%高くなり、胆汁の質が下がると病気になり易いと報告されています。
 胆汁酸はコレステロールからできていて、胆汁の全成分の約80%を占めています。まず肝臓で原料が生成され、そこにアミノ酸の「タウリン」と「グリシン」が混入し、胆汁酸の原形ができます。タウリンとグリシンが混ざることで水溶性になった合成物が胆汁酸塩です。胆汁酸塩は、小腸の中でバクテリアによって「二次胆汁酸」に変換され、大量の胆汁酸が小腸に流れ込んでいて、その約95%は血流に乗ってまた肝臓に戻ってきて、残りの約5%は便と一緒に排泄されます。大腸に入った胆汁酸は、水分を集めて便秘を防ぐ働きをしてくれます。大腸内の胆汁が正しく血流に再吸収されないと、慢性的な腹部膨満感や便秘といった状態になります。
 胆汁酸は血糖値とも密接な関係があり、Ⅱ型糖尿病患者やインスリン抵抗性のある人は、胆汁酸の量が足りないことが多く、最近の研究によると、血糖値を正常に保つには、胆汁が正しく分泌されている必要があるということが確認されています。そして、胆汁酸塩は、コレステロールを原料としているので、コレステロール値を調整する役割も果たしています。体内のコレステロールの約80%(約500㎎/日)が、肝臓で胆汁酸塩を合成するために使われています。
 手術で胆嚢を摘出した人は、食事でタウリンやグリシンを摂取すれば、肝臓はよりたくさんの胆汁をつくれるようになるので有効です。胆石をはじめとする胆嚢の病気は、たとえ重症であっても、食事と運動で改善することができるので、取り組んで損はありません。
by スカラー
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