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逆流性食道炎が、急増中!?

 最近増えてきている“逆流性食道炎”の典型的な症状は、胸やけや吐き気、ゲップのほか、呑酸(酸っぱい液体が口に上がってくる状態)が挙げられます。さらに、肺や心臓に痛みを感じたり、喘息のような咳が続くこともあります。また、声がかれる、喉がヒリヒリするなどの違和感や、中耳炎や蓄膿症などの症状が現われることもあるなど、症状は多岐に渡ります。消化器の病気でありながら、耳鼻咽喉科や循環器科、呼吸器科まで及ぶ幅広い症状を引き起こすのは、胃酸の成分に塩酸が含まれ、強酸性であるためで、常に胃酸にさらされる胃は特殊な粘膜によって保護されていますが、食道や喉、口など周辺の器官は長期にわたって胃酸にさらされると、粘膜がただれるなどの変化を起こしてしまいます。
 そして、この逆流性食道炎は、10年前に比べ罹患率は、10倍になり、まだ診断を受けていない潜在層を含めると患者数は、約1500万人になると推定されていて“国民病”ともいえる状況になっています。皮肉にも、増加の背景には、「医療技術の進歩」も関係しているようです。
逆流性食道炎が増加した一因として挙げられるのが、ピロリ菌の除菌です。以前は、井戸水を飲むことなどにより、多くの人の胃にピロリ菌が生息していて、胃酸の分泌量が抑えられていました。しかし、2013年に同菌に対する除菌治療の保険適用が慢性胃炎にまで拡大されたことで除菌者が増加し、胃酸の分泌が高く維持される人が急増し、逆流性食道炎を発症し易くなっています。ピロリ菌は、胃がんや胃潰瘍、胃炎などの原因菌の一つと考えられていますが、除菌薬効果の意外な“副作用”がこの逆流性食道炎として現れています。そして、ピロリ菌の保菌者の胃癌発生率が、2.9%という確率を考えると、逆流性食道炎で食道癌になる確率の方が、はるかに高いように思います。
 我々の身体は、細菌などの微生物に侵されることもあるかもしれませんが、恩恵も受けています。特に、長年共存しているピロリ菌を絶対的な悪者として、排除することは、正しいとは思えません。
by ドクトル・ノブ
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