階段を4階まで1分以内に上ることができれば、心臓の状態は良好である可能性が高いことを示した研究結果が、欧州心臓病学会(ESC)で報告されています。この研究は、ア・コルーニャ大学病院(スペイン)の研究チームが「多くの対象者の中から精密な検査が必要な人を絞り込むために、心臓の健康状態を簡便かつ低コストで評価可能なスクリーニング法を探索するため、この研究を行った」と、研究の背景を説明しています。結果として、階段をどれだけ速く上れるかを調べるという簡単な方法が、心臓の状態の把握に役立つとの結論を得られたと言っています。
研究は、冠動脈疾患の既往のある患者、または、胸痛や労作時の息切れなどの症状が見られ冠動脈疾患が疑われる人で、運動負荷試験が有用とされる165人を対象としました。まず初めに、トレッドミルによる運動負荷試験で、走行速度を徐々に上げていき、疲労困憊に至るまで負荷を続け、METs(代謝当量)を計測しました。その後、15~20分間の休息を挟んで、階段を1階から4階まで60段の階段を走らずに、かつ、立ち止まらずできるだけ短時間で上ってもらいました。トレッドミルによる運動負荷試験で得られたMETsと階段を上るのに要した時間を比較したところ、40~45秒以内に4階まで上れた人は、トレッドミル試験でのMETsが9~10以上であることが確認されました。
これまでの研究から、運動負荷試験で10METs以上の運動耐容能が確認された人の死亡率は、1年当たり1%以下(10年以内に10%以下)と、低率であることが示されています。今回の研究で、階段を上るのに1.5分以上かかった人は、トレッドミル試験の結果が8METs未満で、1年当たりの死亡率が2~4%、10年以内では30%の死亡率に相当します。実際に今回の試験でも、4階まで上るのに1.5分以上かかった人では、その58%にトレッドミル試験で心機能の異常が認められましたが、1分未満で上れた人では心機能の異常が認められたのは若干名だったとのことです。
あくまでも目安ですが、日常生活で4階まで上るのに1.5分以上かかるようであれば、健康状態に問題がある可能性が高くなっています。普段エレベーターやエスカレーターを使っている方、階段を上ってご自身の身体をチェックしてみてください。人間ドックより簡単に身体の状態が確認できますよ。
by 珍香鈴
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