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風邪にビタミンC?

 気温が低くなってきて、風邪の心配をされている方も多いようですが、風邪と言えばビタミンCを連想する方も多いと思います。そして、風邪予防や風邪を治すのにもビタミンCに効果があると信じられていて、スーパーに並ぶ商品にも、ビタミンCがいくら入っているかが書いてあります。ところが、ビタミンCに風邪を予防する効果はありません。過去のすべての研究データをまとめてビタミンCの効果が解析され、全体として風邪予防の効果はなかったとされています。こんな解析がされるくらい、一時は正当な医学としてビタミンCの効果が期待され、実際に試されていたわけです。
 ビタミンCの健康効果はいまでもよく話題になりますが、ビタミンCの欠乏症である壊血病はきわめて限られた状況でしか発症しません。厚生労働省が発行している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、壊血病防止のためには1日10ミリグラムほどのビタミンCがあれば十分なのですが、日本人は平均してこの10倍近くのビタミンCを食事から摂取しています。おそらくビタミンCが不足している人はほとんどいないと思います。
 ビタミンCが体に良いというイメージができた背景には、ノーベル賞を2回受賞したライナス・ポーリングという化学者が、1970年の本「ビタミンCと風邪」ほか多数の本や論文を通じて、大量のビタミンCが放射線障害やがん、ストレスなどさまざまな問題に効くと主張したので、大きな影響力があったようです。そして、研究者たちは、繰り返し臨床試験を行ってポーリングの主張を検証し、ビタミンCの効果がないことを確認しました。
 しかし、ビタミンC過信はいまだ根強くあります。「日本人の食事摂取基準」でさえ、壊血病予防に必要な量をはるかに超えて、1日あたり100㎎を「推奨量」としています。コロナ禍で更にビタミンCの存在は、より強いモノになるような書き込みや提案がありますが、単体の栄養素がそこまで大きな力はないだけでなく、摂り過ぎると身体に大きな負担をかけて、体調を崩してしまいます。適正量を意識するようにしてくださいね。
by 破易怒
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