自由に身体を動かすことができるのは、身体を支持する骨と自在に動かせる筋肉があるからです。この筋肉は骨格筋といい、胃や腸などで自動的に収縮し食物を細かくし後ろに送っている筋肉や、血液を全身に送っている心臓の筋肉とは違い、自分の意志で動かすことができる筋肉です。ヒトの体には約500~600種類の骨格筋があり、例えば音を鼓膜から内耳に伝える耳小骨という数㎜の大ささの骨を動かす骨格筋(あぶみ骨筋)は1㎜以下の長さで、あぐらをかくときに使う骨格筋(縫工筋)は長さ約50㎝にもなります。骨格筋を虫眼鏡で見てみると細い糸のような線維が束になっています
この線維を筋線維といい、直径が0.1㎜、長さ数㎜~数十㎝のものまでいろいろな長さのものがあります。そして、この筋線維の束が縦の方向に並んでその端は腱となって骨と繋がっています。この筋線維を縮めることによって骨を引っぱりからだを動かしています。この筋線維には、白色筋線維と赤色筋線維の二種類があり、白色筋線維は太く、ミオグロビンという蛋白質をほとんど持っていないので白く見えますが、赤色筋線維は細く、酸素と結合するミオグロビンを多く含んでいるため赤く見えます。
筋肉は、ATP(アデノシン三リン酸)を分解することによって収縮しますが、ATPの作り方の違いで収縮の仕方が異なります。白色筋線維は、クレアチン・リン酸を分解する方法でATPを合成するので、効率がよく、また直径が太いので大きな力を出すことができますが、すぐエネルギーを使い切ってしまいます。赤色筋線維は、酸素を使ってATPを合成する方法のため、たくさんのミオグロビンから酸素を供給できるので長い時間収縮することができます。
これらの特徴によって、二つの筋線維の占める割合が、筋肉の使い方で違いが起こります。例えば大きな瞬発力が必要で、短時間で勝負がつく相撲力士の筋肉は白色筋線維の比率が高く、反対に持久力の必要なマラソン選手の筋肉は赤色筋線維の比率が高くなっているのです。つまり、身体の特定な動かし方を続ける事によって、筋線維の割合を変化させ、それぞれの運動に適した筋肉を作ることもできるのです。
by 筋知良
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