股関節の動きや安定に働く筋肉はたくさんありますが、その中でも安定に作用する中心的な筋肉は、股関節のインナーマッスルと呼ばれている深層外旋六筋です。骨盤と大腿骨を結ぶ梨状筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋、外閉鎖筋の6つの筋肉の総称で、表層にある大臀筋の深層にあり、骨盤と大腿骨(骨頭)を繋ぎ、股関節を安定させる重要な役割があります。また、股関節を外旋(外側に回旋)に作用する筋肉なので単に外旋六筋とも呼ばれています。
これらの働きが弱くなったり、硬くなると、足の着地(片足)の際に「膝が内側に入る(内股)」になり易く、膝の痛みなどに繋がることが多くなります。歩行時間の長い人や長距離を走る人などの場合、膝の内側が痛くなる鵞足炎を患うケースが多くなります。また、パソコンの長時間の利用やデスクワーク等の座っている時間が長いこと、運動不足が原因で深層外旋六筋が硬くなっている人も多く、股関節症、腰痛などの一因にもなっています。
外旋六筋の骨盤の付着位置は、前面:梨状筋、外閉鎖筋そして、後面:大腿方形筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋となっています。梨状筋は深層外旋六筋の中で最も大きいと言われています。梨状筋も2つの上層繊維と下層繊維に分けられます。走行としては第2~4の前仙骨孔(仙骨に空いてる穴)の縁から始まって大坐骨孔を通過して大転子の端に付着します。有名なのは坐骨神経が近くを通過し、坐骨神経痛を起こす筋肉としてよく梨状筋は出てきますが、一般的な解剖学書には梨状筋の下を坐骨神経が通過してるものをよく見ると思います。しかし、Beatonは梨状筋と坐骨神経の走行パターンは6つあると報告しています。ですから、坐骨神経痛と言われる症状も梨状筋の走行パターンを考慮に入れた対処でなければ、ほとんど効果がないだけでなく、悪化することにも繋がります。治療を受けていて、あまり効果が感じられない時は、走行パターンに準じたモノでない可能性が高いです。
by 筋知良
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