運動をして筋肉が活動する時に出る物質が「マイオカイン」です。筋肉から分泌されるホルモンを「マイオカイン」と呼ぶようになったのは、2005年のことで、コペンハーゲン大学のペデルセン博士が、筋肉からホルモンが出ていることを発見し、「マイオ(筋肉)」、「カイン(作動因子)」と名付けたのです。これをきっかけにマイオカインの効能を解き明かす研究に拍車がかかりました。
例えば、「SPARC」というマイオカインは、大腸がんを抑制する効能があることが分かっています。筋肉で作られたSPARCは、大腸がん細胞を見つけるとアポトーシス(細胞死)を働きかけるのです。
筋肉から分泌されるホルモンは、SPARCだけでなく、肥満や糖尿病を抑える「IL―6」、肝硬変につながる脂肪肝を改善する「FGF―21」、糖尿病や動脈硬化、更には、うつ病やストレスにも効能のある「アディポネクチン」も確認されています。更に、ハーバード大学の研究チームが注目したのは、認知機能の改善につながる「アイリシン」やアルツハイマー病の原因物質を減らす「IGF―1」といったマイオカインです。
筋肉で作られる物質は上記以外にも、日本人に多い2型糖尿病を抑え込む酵素「AMPキナーゼ」と呼ばれる物質も分泌されています。「体内の血糖値が上がると膵臓の『ランゲルハンス島』からインスリンが分泌され、血糖値を下げます。2型糖尿病は、このインスリンがうまく働かず、糖の取り込みがうまくいかないのです。ところが、筋肉で作られるAMPキナーゼは、血液中の糖を吸収して細胞内に取り込んでくれる。これが分かったことは医学的に大きかった。インスリンがうまく働かなくても糖尿病と上手に付き合ってゆけることが分かったのです」と研究者は解説しています。
骨格筋が、万能ホルモン・マイオカインやAMPキナーゼを作り、分泌を促進するためには、運動が必要なことも理解していただけたと思います。来年は、できる限り身体を動かして、筋肉からマイオカインや身体に有効な酵素を分泌させるようにしたいものですね。
by ボヤッキー
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