私たちの筋肉や腱は、伸び過ぎや縮み過ぎによる損傷を防ぐために、筋肉の中にある「筋紡錘」と、腱と筋肉の境目にある「腱紡錘(ゴルジ腱器官)」というセンサーが監視しています。筋紡錘は筋肉の伸び過ぎを感知すると、即座に脊髄に情報を送り、脊髄は「縮め」と指示を出します。一方、腱紡錘は筋肉の伸びと縮みの両方を監視しており、異変を感知すると脊髄に知らせます。これらの仕組みは「脊髄反射」と呼ばれ、普段は意識しなくてもうまく働いてバランスを取っているのです。しかし、過度な使用であったり、使用が極端に乏しかったりすると筋肉の損傷を防ぐために痙攣によって活動を停止させます。また、体内で電解質(ミネラル)のバランスが崩れる等の理由で誤作動が起きて、脊髄から適切な指示が出ず、筋肉が痙攣してしまうこともあります。この状態が筋肉の攣り、いわゆる「こむら返り」です。こむら返りは、電解質の不足、血流不足や冷え、筋肉疲労、筋肉量や代謝量の減少、薬の副作用などの様々な原因が組み合わさって、こむら返りの症状が現れると考えられます。
下腿部に起こり易い原因は、ふくらはぎの筋肉は、抗重力筋で、立ったり、座ったり、普通に生活をしているだけでも常に緊張しています。負荷がかかり易く、日常的に収縮と弛緩を繰り返すなど、特に疲れ易い筋肉ですから、攣り易くなります。また、心臓より下にあるため、体液がふくらはぎ辺りに溜まって、浮腫みや血流の滞りが起き易く、冷えや酸素不足、ミネラルバランスも崩れて、こむら返りが起こり易くなります。更に足元は冷えやすいため血流悪化が起こり、筋肉が強張るために、こむら返りを誘発します。
更に、運動不足による筋肉の機能の低下は、こむら返りの大きな要因になります。特に、血液を心臓に送り返し、体内に循環させる働きを担う下肢の筋肉機能が弱くなると血流が悪化し、代謝も悪くなるため、こむら返りが起きやすくなります。また、妊娠中期から後期にかけては、お腹が大きくなって姿勢が崩れたり、体重増加によって足の筋肉が疲労しやすくなるだけでなく、胎児が骨盤を圧迫することで、足の血流が滞り易くなって浮腫みが発生し、こむら返りが起こりやすくなります。その他にも、パソコン作業などで座りっぱなし、喫煙は、飲酒なども誘因材料です。
by 筋治狼
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