マーガリンは油脂の硬さを調節するために「部分水素添加油脂」を原材料の一部として用いています。この部分水素添加油脂がトランス脂肪酸の生成を助けると言われていることから、マーガリンにはトランス脂肪酸が大量に含まれているので、食べない方がよいという俗説が広まったようです。WHO(世界保健機関)では、トランス脂肪酸の摂取量を「総エネルギー摂取量の1%未満(平均的な日本人で約2g未満)」にするよう勧告しています。
しかし、実際にマーガリンのトランス脂肪酸が多いかと言われると、過去のものは確かに「現在のマーガリンに比べれば」多かったかもしれませんが、もともと日本人はWHOの基準を上回るほどのトランス脂肪酸を過去も現在も摂取していません。さらに、このWHOの報告を受け、日本国内のマーガリンを製造している各社は、それぞれ企業努力を行い、上述の「部分水素添加油脂」を使わなくても、マーガリンの硬さを調節する方法などを開発した結果、低減前でも問題のある量ではなかったトランス脂肪酸の含有量を、そこからさらに1/10まで減らした企業もあるほどです。
もともと諸外国では油脂の摂取量が多く、トランス脂肪酸も健康被害が出るほどの量を常時、摂取しているため、冠動脈疾患のリスクが高まるとの報告が出されました。しかし日本国内に在住する日本人においては、諸外国で問題視されたほどの油脂量を摂取していません。(だからといって安心して良い訳ではなく、食の欧米化が進む近年では、特に油脂の摂取量に対して、注意は必要だと思います。)
人間は雑食で、さまざまな食品を食べて生活しています。マーガリンもさまざまな食品のひとつです。上手にバランスよく、偏らないバラエティに富んだ食卓を楽しむことが、健康被害を減らしていくポイントだと思います。
by chirune
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