コレステロールが高いと聞くと、「卵をひかえなければ」と思う人は多いと思いますが、そう考えるようになった原因は、約100年前にロシアでおこなわれたウサギを使った実験です。ウサギに大量に卵を食べさせたところ、コレステロールの数値が上がりました。しかし、その後の研究により、この結果は人間にはあてはまらないことが確認されています。ウサギは草食動物なので、コレステロールをほぼ100%体内で合成しています。そのため、余分なコレステロールを体外に排出する仕組みが発達しておらず、人工的にコレステロールを摂取させると、食べたら食べただけコレステロール値が上がってしまうのです。
人間はウサギと違って、口から入るコレステロールの量が増えると、体内での合成が低下するようになっています。健康であれば、卵を2~3個食べたくらいで血液中のコレステロール濃度が上がることはありません。卵に限らず、コレステロールを含む食品の摂取を制限する必要はないと判明したことから、厚生労働省は、これまで定めていたコレステロールの摂取基準を、平成27年版の「日本人の食事摂取基準」から廃止しています。
本当に大切なのは、コレステロールを含む食品ではなく、「コレステロールの合成を促す成分」をさけることです。その代表が飽和脂肪酸で、その逆に、コレステロールの合成を促さないのが不飽和脂肪酸です。卵1個には脂質が約5g含まれていて、そのうち約200mgがコレステロールです。しかし、含まれ脂質の半分以上が不飽和脂肪酸なので、食べることでコレステロール値が上がる心配はほとんどありません。イカ、タコ、イクラなども同じです。また、魚に含まれるEPAとDHA、オリーブ油やサフラワー(紅花)油などの植物性油、そしてナッツ類に含まれる油も不飽和脂肪酸でできています。これに対して牛肉、豚肉の脂あぶらは大部分が飽和脂肪酸です。バター、生クリーム、アイスクリームなどの乳製品や、パンや焼き菓子、ハンバーガーやフライドポテトなどのファストフードにも飽和脂肪酸が豊富に含まれています。そして、飽和脂肪酸の摂取量が増えるにつれて、心臓病の発症率が高まるので注意が必要です。
ただし、飽和脂肪酸を徹底的にさけるのは問題です。日本人は飽和脂肪酸の摂取量が少ないと脳出血が起きやすくなることが、多くのコホート研究から明らかになっています。飽和脂肪酸にしても、悪玉LDLにしても、適切な量であれば体にとって大切な働きをしています。極端に走らず、バランスよく食べることが大切です。
by ボヤッキー
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