肺は、自分では空気を取り込むことは出来ません。肺は、肺の周りの筋肉や骨等が動くことで、その動きに引っ張られるかたちで受動的に動く臓器です。肺を動かすのに役立っているのは、胸壁(胸骨、肋骨)、呼吸筋(横隔膜、内・外肋間筋)、呼吸補助筋(胸鎖乳突筋、斜角筋など)といった骨や筋肉群であり、これらで囲まれた領域は、胸郭と表現され、広い意味での呼吸器といえます。それぞれの筋肉が伸び縮みすることで胸郭が動き、それにつられて肺が動くことで、呼吸運動が営まれます。特に、大切なのはおなかの臓器と胸を分けている横隔膜と呼ばれるドーム型の筋肉で、下部の肋骨と脊椎にくっついています。
息を吸うとき、この横隔膜が収縮し、下方に移動することで胸郭が上下に広がり、それにつられて肺が膨らみ、空気が入っていきます。安静の呼吸では、この横隔膜の移動が1~2cm程度に過ぎませんが、大きな呼吸や腹式呼吸の場合は、最大で約10cmも下がることが分かっています。横隔膜の面積は、約270~300㎠で、安静換気中の上下運動を約1.5cmとすると、容積変化は約400mlに相当し、一回換気量の約80%を横隔膜運動が駆動していることになります。
また、肋骨と肋骨を結ぶ筋肉は、肋間筋と呼ばれ、横隔膜とともに呼吸運動に際し重要な役割を果たします。肋間筋は、内肋間筋と外肋間筋に分けられますが、息を吸うときは、主に外肋間筋が収縮し、肋骨が上方、前方に引っ張られ、その結果として胸郭が前後に広がります
一方息を吐くときは、安静呼吸の場合、特に力を使わず、吸気時に収縮した呼吸筋の弛緩と肺の縮もうとする力(弾性収縮力)によって自然にもとの位置に戻ります。肺胞の周りには、毛細血管を含め間質といって肺胞と肺胞の間を埋めるものがありますが、そのうち弾性繊維などといった繊維成分が周りにネット状に張り巡らされていて、肺の縮もうとする力を作りだしています。
呼吸は、肺が行っていると思っている方は、医療関係者も含めてたいへん多いですが、筋肉の空気を取り込むという仕事なしには、成立しないのです。改めて、胸郭周辺の筋肉の柔軟性が、呼吸の大きい、小さいを決めているのだと確認させてくれますね。 By 珍香鈴
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