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抗生物質が効かない!?

 医療の世界でも新しい研究が進み、情報は日々更新されています。同じ症例でも以前と今では治療法が違ったり、医師によって診断や処方が異なることもあります。
 特に注目されているのが、複数の疾患を抱える高齢者などに多数の薬が処方され、健康被害を起こす可能性がある『ポリファーマシー問題』です。厚生労働省は「高齢者の医薬品適正使用の指針」を発表し、高齢者に処方される薬のリスクや不要な処方などについて見直そうとする動きが広がってきています。
 特に、『ポリファーマシー問題』にまで発展した背景には、「薬を出すリスク」よりも「薬を出さないリスク」を考えた“万が一処方”や、患者にせがまれて薬を処方してしまう“お土産処方”があります。そして、その典型的な例が、「風邪に処方される抗菌薬(抗生物質)」です。一般的な風邪は、約90%以上がウイルス性で、抗菌薬はその名の通り細菌に効くものであってウイルスには全く効果がありません。風邪の患者に抗菌薬を処方して肺炎などの予防に繋げようとするための、“万が一”処方なのです。
 また、安易な抗菌薬の処方は、新たな薬剤耐性菌を生み出すリスクにもつながります。院内感染などのニュースでよく耳にする「MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)」は、1960年ごろに生まれた薬剤耐性菌です。薬剤耐性を持つ細菌は、サミットの議題にも上る世界的な公衆衛生上の脅威で、これが進むと、従来は簡単に治療できていた感染症で命を落とすという事態になりかねません。現在、耐性菌によって死亡する人は世界で70万人ですが、20年後には、10倍以上になり、死因のトップになるという予想もあるようです。
 特に、日本の薬消費量は、世界一多いので、対策を急がなければなりません。我々も身体の回復機能を信じて、薬に頼らないように取り組んでいきたいですね。
by ボヤッキー
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