日本政府の新型コロナウィルス感染症の対応が、欧米と比較して緩いモノなっていますが、感染症に対しては過去にはたいへん厳しい対応をしています。
コレラが公衆衛生上の重大な脅威として浮上していた時、日本政府は「強制的な隔離」を政策の柱としていました。「虎列刺(コレラ)病予防法心得」を基にコレラ対策関連法を公布し、検査や隔離、感染者が住む地域の消毒を行う権限を警察に与えていました。また、政府は、明治後期から、ハンセン病患者に対して厳しい隔離政策を続けており、1907年に「らい予防法」で医師にハンセン病患者の報告を義務付け、警察に対しては患者の強制的な隔離措置を行う権限を与えています。そして、ハンセン病の患者たちは指定された収容施設に送られ、多数の患者が社会から隔てられた暮らしを余儀なくされていました。ハンセン病の治療法が確立された後も、ハンセン病関連法は数十年間にわたって効力を持ち続け、1996年になってようやく「らい予防法」が廃止され、ハンセン症患者たちは隔離施設から解放されました。
それに対して今回の緩い政策が実施されるのは「戦後民主主義」が個人の権利を強く制限することを制度的にも困難にしたという見方をしています。しかし、一部にはそれも影響していると思いますが、それだけではありません。これまで歴史的に個人の権利を重視してきたフランス、イギリス、米国などの国々でも今回、警察が強い権限を行使し、厳しい規制の実施に乗り出していることを考えるともっと違う理由の方が大きいと言えます。
日本政府の政策は、1970年代の度重なるオイルショックの後の「省エネ」の呼びかけ、2011年の東日本大震災後の電力節約要請にも確認できるように政府からの要請に強制力がなかったにもかかわらず、人々は自主的にエネルギー消費の削減に努めた国民性を信じたことも独自の対策になったと思われます。対策には、不備はたくさんありますが、正体の分からないウィルスに対して、右往左往するのは止むを得ないのかもしれません。
by 太久籠
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