身体のことを知っていると思われる医師も含めて、ほとんどの方が「歩く」ことは、誰でもできる簡単な運動だと思っています。運動不足の解消として、手軽に身近な運動として利用し、そのために医療関係者も「歩く」ことを薦めます。しかし、人の直立二足歩行は、四足歩行と比べて、高度な身体能力が求められるため、習得するのに長期間の身体の成熟と訓練を必要とします。個人差もありますが、直立二足歩行を行うには生まれてから1年程度の時間を要します。それができるまで這い歩き(四足歩行)を余儀なくされ、掴まり立ちを行い、その後やっと歩くことができるようになるのです。正に、人の歩行は学習の賜と言っても過言ではありません。
それに引き替え、四足歩行の動物は生まれて数時間後には自分の足でしっかりと立ち、歩けるようになります。胎児期の成熟度の違いなどの色々な条件が違うことは間違いないのですが、歩行そのものの中枢が違うことが一番大きな要因と考えられます。人の歩行は大脳新皮質に中枢があるので、訓練、学習を要する運動になってしまっています。そして、日常の生活や動きの中に無意識の歩行の学習の基礎となっていることはほとんどの方が気づいていません。人によって歩き方が違うのは、今までの生活の中で培われたものが特徴となって現われているのです。特徴が強く現れると歩き方の変化だけでなく、身体への部分的な負担が大きくなり、傷害となります。変形性膝関節症などの膝の痛み、股関節の痛み、巻爪、外反母趾などの足のトラブル、腰痛、首、肩の痛みなども発症させることになります。運動不足解消、医師に薦められて等の理由で始めた長時間(30分以上)歩行が原因で膝などの痛みを訴えている方はたいへん多いです。手軽で、容易にできて、良くなると思っての取組みですが、実際は身体への負担の方が大きく、痛めつけることになってしまっています。
人の歩行は多数の関節の共同運動です。上手く行えば、身体へのプラス効果が期待できるたいへん良い運動ですが、多数の関節が働くので、たいへん難しい運動です。10分程度から、普段より歩幅を大きくして、身体全体を使うイメージで歩いてみてください。そして、身体からの信号(痛み、違和感等)に耳を傾けて、身体の状態をチェックしながら行って、正しく歩けるようになってから長時間歩行に臨んでいただければと思います。
by 筋治狼
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