肝臓の再生は、以前から確認されていましたが、その解明を東京大学の研究チームが「肝臓はまず肝細胞の肥大によって再生し、肥大だけでは不十分である場合にのみ分裂してその数を増やすということを示唆している。これらの結果から、これまでに知られていなかった肝再生における肥大の重要性が世界で初めて明らかとなった。また、肝細胞の20~30%程度は2つの核を持つことなどの特殊な性質にも着目し、肝細胞の細胞周期の観察をこれまでにないほど詳細に行った。その結果、肝再生において肝細胞の大部分は、肝細胞の倍数性が増加することや、再生後の肝臓では2つの核を持つ肝細胞の割合が通常の肝臓よりも減少すること、および2つの核を持つ肝細胞の細胞分裂においては、2つの核から凝集した染色体が細胞の中央に集まり、それらが細胞の両極に分配されることによって1つの核を持つ肝細胞が2つ生み出されることを明らかにした。このように、肝細胞が肝再生において非常に特殊な細胞分裂を行うことが示された。」と説明しています。
また、肝臓が、手術などで大きく傷ついた際、脳が信号を出して急速な再生を促す仕組みを東北大の研究チームが解明したと英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表し、掲載されました。
肝臓は、大きなダメージを負うと急速な再生が起きることは知られていましたが、その仕組みは、詳しく分かっていませんでした。東北大大学院医学系研究科の研究チームがマウスで行った実験では、肝臓が傷つくと、自律神経を通じて脳からの信号が肝臓に届き、肝臓内の免疫細胞を刺激することが判明しました。この免疫細胞が、分泌する物質により、肝臓の急速な再生が進むことが分かりました。また、自律神経を切除すると生存率が、極端に低下することも確認されています。更に、老化したマウスでも、急速な再生が起き難いことが判明しました。
研究チームの主任教授は「臓器の老化がなぜ起こるかや、老化のダメージを抑えることにつなげる手法にも応用していければ」と話していて、今後の課題となっていますが、肝臓の再生の解明が、肝疾患の治療にも繋がることになるのは間違いないと思います。
by 筋知良
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