人体の仕組みとして、基本的に血糖値を下げるホルモンは、インスリンだけですが、血糖値を上げるホルモンはたくさんあります。その理由は、“糖”は生命維持には極めて重要な物質で、特に脳や神経は糖のエネルギーで機能しているからです。血糖値が下がり過ぎると機能低下し、死に至らしめるので、進化の過程で、血糖値を上げるためのホルモンは何種類も備える一方、下げるためのホルモンはインスリン1つあればバランスが取れていたのです。
ところが、現代人は、手を伸ばせば簡単に食物を手に入れられる飽食の状態となり、飢餓から身を守ることが重要だった人類の長い進化の過程では、予想しなかった状態となっています。ですから、身体は、この飽食に対して十分な機能を進化、適応できていないことが糖尿病などの生活習慣病として現れています。
米国では、運動することが糖尿病治療等のための“重要な柱”と位置付けられており「Exercise is medicine.(運動は薬なり)」というスローガンが普及しています。だから、米医師会やスポーツ医学会も健康のために運動を推奨しています。米国は、糖尿病に限らず、病気になった人を治すのではなく、病気にならないように予算を付けて仕向けて行くという意識が、とても高くなっています。残念ながら、日本の病院では、薬の処方が中心で、患者さんにどのように運動をすればよいかを伝える努力が不足しているのが現状です。それは、具体的な運動の効果の出方が分かっていないことです。
運動の効果は、臓器によってそれぞれ違いがあります。脳、免疫系、肝臓、すい臓など全ての臓器に運動の効果が現れ、数種類のがん発生のリスクを低下させることも分かってきています。それに繋がっているのが、筋肉から何か健康に良い“ホルモン”が分泌され、血液流に乗って全身に届けられ、各臓器に対して良い働きをしていることが判明しております。そして、そのホルモンは1種類ではなく、脳に作用するもの、心臓に作用するものなどと多種、多量に分泌されていることが確認さていますが、日本の医師やその周囲の関係者は、その取り組みには、まだ少数で、消極的であることは残念な限りです。
by 筋知良
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