「ふと目を覚まして、起きようとしても体が動かず、声も出せなかった」などの金縛りを経験した方は多いと思います。この状態は、睡眠周期のレム睡眠で起こる現象なので、心配いらないようです。
金縛りは、医学的には「睡眠麻痺」と呼ばれ、身体の筋肉に力が入らず、起き上がることはもちろん、寝返りや声を出すこともできなくなります。金縛りは決して珍しい現象ではなく、成人の約40%が、少なくとも一度は経験していると言われています。多くの場合、金縛りは短時間で終わりますが、時には数分続く長い金縛りもあり、恐怖感から実際以上に長く感じることが多いようです。脳卒中などによる麻痺と違い、金縛りの麻痺は後遺症もなくすぐに元に戻りますが、金縛りの麻痺は、私たち全員が一晩に何度も経験している正常な“生理現象”なのです。しかし、眠っている間に生じるため、気づかないことがほとんどです。
金縛りの時に見られる麻痺は、寝ついてから、約90分に一度の周期で繰り返し現れる「夢を見る睡眠」として知られているレム睡眠時に生じます。睡眠時間が6~8時間であれば、一晩に3~5回のレム睡眠が出現します。夢を見やすいことからも分かるように、レム睡眠中の脳は活発です。体の運動をつかさどる脳部位(運動野)も活発になっています。しかし、夢の内容そのままに体が動いてしまっては、しっかりと休養を取るという睡眠の本来の目的も果たせません。そのため、レム睡眠中は手足等の筋肉が動かないように、大脳と骨格筋を結ぶ運動神経の途中にある「オフスイッチ」が作動することが、金縛りで見られる麻痺のメカニズムです。レム睡眠が終わり、ノンレム睡眠になれば、オフスイッチが解除されます。ところがレム睡眠中、何かの拍子に覚醒したとき、オフスイッチがすぐに解除されないことがあります。その際に、睡眠麻痺を「金縛り」として自覚するわけです。
金縛りにあったときは、慌てずに、「これはレム睡眠の名残」であることを思い出してください。数分のことなので、オフスイッチが解除されるのをゆっくりと待つか、眠気があるようなら、うとうとと二度寝をしたり、楽しい歌をイメージすると解消されます。毎晩のように頻発しなければ、金縛りへの治療は必要ありません。ちなみに、私たちが睡眠中の寝返りは、ノンレム睡眠中の出来事になるようです。
by 頃僕来
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